【子育て中の方に絶対に読んでほしい】エビデンス(科学的根拠)に基づいて書かれた育児書2冊

2021-08-18おすすめ本,育児Kindle Unlimited,エビデンス,育児

こんにちは。こぶたです。
今回は子育て中の方には絶対に読んでほしい、エビデンス(科学的根拠)に基づいて書かれた育児書をご紹介します。

エビデンス(科学的根拠)とは何か、ということについて知りたい方はぜひこちらの記事もご覧ください。

日々子どもと接していると、「テレビを見させてばかりで大丈夫だろうか」「褒めて伸ばすっていうけど、ずっと褒めてたら調子に乗るんじゃないだろうか」「いつも叱ってばかりだけど、これでいいんだろうか」など、さまざまな疑問が浮かんできます。

ですが、それらに関して周囲の人たちからは「テレビばかり見せるのはよくないんじゃない?」「ご褒美で釣ってたら自分から動けない子になるんじゃない?」などともっともらしいことを語られるかもしれません。

それらはどれもその個人の考えや経験談に基づくためもっともらしく聞こえてしまい、自分がやっていることを反省し落ち込んでしまうこともあります。

ですがちょっと待ってください。その周囲の人たちの言っていることは本当なんでしょうか?

その人が何らかの科学的根拠に基づいて発言しているならともかく、ただの個人の経験談には、たとえ相手が専門家の経験談であったとしても全くエビデンス(科学的根拠)がありません。確かにその人の場合はうまくいった方法かもしれませんが、それが本当に誰にでも当てはまることだとは言えないのです。

もし自分が子育てで悩んだり迷ったりしたとき、周囲の人たちの意見に従うよりも、エビデンスのある方法を実践することで、失敗を減らして成功する確率を上げてくれる可能性があります。

ですから、子育て中の方にはぜひエビデンス(科学的根拠)に基づいて書かれた育児書を1冊でもいいので読んでいただきたいのです。

そこで今回はご紹介する2冊は以下の2冊です。

タイトル著者出版おすすめ度
「学力」の経済学中室 牧子2015年★★★★★
科学的に考える子育て エビデンスに基づく10の真実和久田 学2020年★★★★★

どちらの本もとても読みやすく、子育て中の方には絶対に読んで欲しい本です。

『科学的に考える子育て  エビデンスに基づく10の真実』 和久田学著/2020年出版/緑書房

まずご紹介するのは、和久田学先生によって書かれた『科学的に考える子育て エビデンスに基づく10の真実』という本です。この本は2020年に出版された比較的新しいものです。

この本では主に脳科学、行動科学、疫学統計学における研究の成果を紹介してくれます。全く専門知識のない私たちにとても分かりやすく解説してくれます。

著者 和久田学先生について

著者は特別支援学校の教師として20年以上勤務された経歴の方です。その後大阪大学大学院連合小児発達学研究科という当時できたばかりの博士課程に進学されました。

博士課程では『科学的根拠に基づいた子どもの支援』について研究され、小児発達学の博士号を取得されたそうです。現在は公益社団法人子どもの発達科学研究所主席研究員、大阪大学大学院連合小児発達学研究科特任講師など多方面でご活躍されています。

筆者は、『科学は道具である。自分たちの生活を快適にするために科学を使うように、教育や子育てを効率よく、しかも楽しく行うために科学を使うべきだ』という考えを持っています。

「子どもの発達支援や教育については、すでにたくさんの研究がある」として、筆者は本書の中でたくさんの研究結果について解説してくれます。

科学的に解決できる子育ての問題

本書では10個のテーマに、プラスαとして発達障害に関する問題が紹介されています。

例えば、

真実2 結局、「叱る」は大人の負け
真実3 ほめるのはタダだが、技術が必要

は、タイトルを読むだけで興味をひかれます。

大人は時間や周りの状況を考えてついつい子どもを叱ってしまいがちです。それに対して、真実2では、『大人の負け』と言い切っています。

また、子どもを褒めて自尊心を育てて伸ばす方法を聞いたことがある人もいると思います。その褒め育てに対して、ただ褒めるだけではいけないと、効果的な方法も合わせて教えてくれるのです。

これだけでも私たちの知っている子育てに一石を投じる内容になっているのではないかと思います。

『真実2 結局、「叱る」は大人の負け』で紹介されている内容をもう少し掘り下げてご紹介します。

筆者は「叱る」ことによる副作用を3つ紹介してくれます。1つ目は「弁別の法則」、2つ目は「派生の法則」、そして3つ目は「反発の法則」です。

「弁別の法則」は、ある一定の条件下では問題行動がなくなるけれども、その条件がなくなると再び問題行動を起こすようになることです。

例えば子どもが大騒ぎした時に、お父さんやお母さんが強く叱ったとします。そうすると、その場はすぐに静かになりますが、叱った人がいなくなると結局また大騒ぎし始めることがあります。これが「弁別の法則」です。

「派生の法則」は、嫌いな人がいるとその周囲のものまで嫌いになってしまうことです。その反対もあります。例えば数学の好きな子どもは数学の先生まで好きになるかもしれませんし、英語の先生が嫌いなら英語の教科自体が嫌いになってしまうこともあります。これが「派生の法則」です。

最後の「反発の法則」は、急に攻撃される(例えば怒鳴られる)と、反射的にとりあえず反発する傾向のことです。もしも相手との間に上下関係があれば、すぐに反発されることはないかもしれませんが、厄介なことにこの反発の気持ちは蓄積していくことがあります。それがいずれ爆発することになりかねないのです。

この3つの法則は、誰しも心当たりがある行動だと思います。筆者はこの3つ以外の理由も紹介しつつ、「叱る」ことの問題点について明らかにしていきます。

このように、育児中によくある問題や疑問ついてさまざまなエビデンスを示しながら紹介してくれますので、とても納得しやすい内容になっています。

『「学力」の経済学』 中室牧子著/2015年出版/ディスカヴァー・トゥエンティワン

次にご紹介するのは、教育経済学の専門の先生が書かれた『「学力」の経済学』という本です。2015年に出版された本で、当時はあまり『科学的根拠に基づいて』書かれた育児書は少なく、とても話題になったそうです。

この本では私たちが普段行っている子育てにおける行動が主に子どもの「学力」にどのような影響を与えるかについて詳しく紹介してくれます。

この本はKindle Unlimitedに含まれるタイトルなので、メンバーの方はすぐに読むことができます。また、メンバーでない方も登録すれば購入するよりも安い値段で読むことが可能です。

著者 中室牧子先生について

著者の中室牧子先生は、慶應義塾大学総合政策学部で教授をされている方で、ご専門は教育経済学です。

先生は教育経済学者として研究していく中で、さまざまな教育機関や自治体に対して教育に関する共同研究を持ちかけますが、「教育現場」に「科学」を持ち込むことに否定的な意見がが多く、断られることが多かったそうです。

思い悩んでいた中、講演会で小さいお子さん連れのお母さんに、その講演会に来てよかったと喜びの言葉をかけられます。その経験から『自分の知識が子育て中の親の役に立つ』ものなんだということを実感し、とにかくまずはそのことを広く世の中に伝えることを始めたそうです。

そのように活動していく中で多くの反響を得て、たくさんの教育委員会や学校、学習塾等から共同研究の声がかかるようになっていきます。それから筆者は研究を進めつつ、自分や同僚の研究情報の発信にもいっそう力を入れて取り組んでこられました。

本書の中ではそんな著者が子育てをする親が知っておかないともったいないと考えていることを紹介してくれます。

学力に影響を与える子育て

本書では主に子どもの今や将来の学力に与える影響について、さまざまな角度からの研究結果を知ることができます。

例えば、『勉強をさせるために子どもをご褒美で釣ってはいけないのか』という問いに関して、ご褒美で釣ることの是非だけではなく、効果的なご褒美の与え方や内容まで細かに教えてくれます。

この本を読んだ後には、
① 1時間勉強したら、勉強が終わった後にお小遣いをあげる
② テストで良い点を取ったら、お誕生日にお小遣いをあげる
といった、一見同じように見える2つの作戦の違いと、どちらの方がより効果を生むかということが分かるようになります。

本書の中では『ご褒美』以外にも、『褒め育て』『テレビやゲーム』『友だち』など、誰もが感覚的には『良さそう』『悪そう』と思っていることが、実際に学力に与える影響について詳しく紹介しています。

また本書では学力やIQを高めるための"勉強"も大事ではあるが、将来の成功のためには『非認知能力』を鍛えることも重要だと述べています。もちろん『非認知能力』の重要性についてのエビデンスも示されています。『非認知能力』は鍛えることもでき、その鍛え方についても本書の中で紹介してくれます。

『「学力」の経済学』というタイトルは、単に「学力」を効果的に高める方法を知ってほしい、というだけではなく、「学力以外」にも重要なことがあるということも意味しているということです。

因果関係と相関関係

さて、本書の大筋の内容は『エビデンスのある子育ての方法』についてですが、本書の中で『因果関係』と『相関関係』に関する記述があり、とても興味深かったので少し取り上げてみます。

みなさんは『因果関係』と『相関関係』という言葉の正しい意味を理解されていますか?何となく同じような意味の言葉に感じますが、実際には全く異なります。

『因果関係』はAという原因がBという結果を引き起こすという意味で、『相関関係』は単にAとBという事象が同時に発生しているという意味です。

例えば『健康診断を受けている人は健康で長生きできる』と言われると、もっともらしく、なんとなく納得できるかと思います。ですが、本当に『健康診断』を受けた結果『健康で長生き』できるのでしょうか。

例えば『健康診断を受ける人は、もともと健康意識が高い人』かもしれず、そういう人は食事や運動にも気を使っているかもしれません。そうなると、『健康診断を受けている』ことと『健康で長生きできること』は、因果関係(原因と結果)ではなく相関関係である可能性があります。

子育てでもこのような例はたくさんあると思います。『ゲームをたくさんすると子どもが暴力的になる』という考えは、『ゲームをすること』が原因で『子どもが暴力的になる』(因果関係)なのか、『もともと暴力的な子ども』が『ゲームをたくさんする』(相関関係)なのかはきちんと区別しなければいけません。

さまざまな研究は主に物事の因果関係を証明するために行われ、『因果関係』が証明されたことを、エビデンスがあると言います。

子育て情報に限らず相関関係は身の回りに溢れているので、人の意見が相関関係なのか因果関係なのかは常に意識しながら聞かなくては、間違った情報を掴んでしまう危険性があることを強く感じました。

ちなみに、この相関関係と因果関係について、『「学力」の経済学』の筆者が詳しく書かれている本がありますので、よろしければご覧ください。育児メインの本ではありませんが、情報過多な現代の人たちに必須の知識だと思います。

まとめ

両方の筆者が述べていますが、海外では教育の現場においてもさまざまな研究を行い、エビデンスの高い情報をもとに、最もコストパフォーマンスの良い方法を政策として実行していくそうです。

日本では残念ながら政府、行政においてさえ教育に科学を取り入れるのが遅れていますから、個人においてはなおさら知られていないのが現状ではないでしょうか。

せっかく専門家の先生が一般の私たちにもわかりやすくエビデンスに基づく子育ての方法を紹介してくださっているので、できる限り多くの方がこの情報を手にして活用できることを心から願っています。